座間友記の罪と罰

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座間友記の罪と罰

 「 あれから10年か…。」  探偵から届いたばかりの真新しい報告書を手に、座間友記はソファに腰を沈め、珈琲を啜りながらひとりごちた。    桜子は幸せに暮らしているのであろうか?    正直、この報告書を読むのが怖い。  でも、ケリをつけなければ。    真相を追い続けたあの時の私の罪と罰に。    双子座流星群だから12月、クリスマスの1週間くらい前の出来事。  当時、座間は大学の心理学研究室の室長を兼任する教授であった。  論文をまとめあげるため、毎日毎晩、研究室のパソコンと向かい合っていた。  テーマは「競技力向上におけるメンタルトレーニングの効果的なアプローチ」  夏までに体育会運動部に協力を依頼し、陸上部、水泳部といった個人競技から、アメリカンフットボール部、ラグビー部といったチーム競技まで幅広くデータを集めていた。  そして秋にはその集めた膨大な量のデータの解析を行い、その結果をまとめているところであった。  そのデータ解析を手伝ってくれていたのが、心理学研究室に所属していた学部三年生の藤田桜子であった。
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