座間友記の罪と罰

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 時刻は23時。    大学の敷地は広く、座間は講義棟や研究棟があるエリアから奥へ奥へと歩いていた。  すれ違う人は誰もいない。    野球場、球技場、陸上トラックなどすでに照明が落とされた体育会施設を過ぎると、突き当たりに小高い丘になっている芝生広場があった。  付近には最小限の照明しかなく、かなり暗い。  星空の観測にはうってつけの場所である。 「 先生、こっちです!」  声は丘の上方から聞こえたが、姿は闇に包まれて見えなかった。  声を頼りに丘を登ると頂上付近に桜子が待っていた。  既にレジャーシートの上に毛布を敷き、さらに肌掛け用の毛布も用意しているようだった。   「 これは、準備万端だね。」  優しく低い声でそう話しかけた。 「 はい、先生に風邪をひかれたら困りますからね。ホットコーヒーも用意してありますよ。   先生程、上手に淹れられないですけれど。」  桜子の声はとても肌触りが良いタオルのようだ。  ずっと聞いていたくなる。
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