ヤンキー彼氏の大きすぎる偏愛

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「ねぇ、いいよって言ってよ」  目を開けてからもずっと俯いていた八戸はようやく睦を振り返った。落ち着いた声とは裏腹に彼は随分と余裕のない顔をしていた。頬が紅潮し目は潤んで、辛そうな顔だった。  ずっと今まで我慢していたのだ。そして、今この瞬間も律儀に八戸の許可を待っている。  その顔を見た瞬間、とてつもなく彼が愛おしいと思った。 「い……挿れて。睦が欲しい。──あ゛ぁッ!」  言い終わるとほぼ同時に睦が八戸の中に押し入ってきた。一気に半分ぐらいまで埋め込まれ、八戸は口を大きく開けたまま浅い呼吸を繰り返す。 「は……ぁっ、あ゛……ぁ……ッ」 「……んだよ、これ……」  あの大きな逸物が自分に入ったのかにわかに信じられない。腹が裂けたのではないかと心配になってさすってみたが、無事だった。外から擦ると中にいる睦が余計に意識してしまう。睦は出たり入ったりを繰り返しながら、性急に奥へと進もうとする。 「あ……あぁぁ……、ひぃ……ッ」  奥を無理やり拡げられる感覚に情けない声が漏れる。開きっぱなしの口からよだれがぼとぼとと垂れた。本能的に逃げたくなるのをなんとか抑えながら、拳をきつく握りしめる。背後から睦の激しい息遣いが聞こえてきた。 「ふっ……ぅ……」 「睦……、もっと……ゆっくり……」  なんとか嘆願すると彼の動きが少しゆっくりになった。入っていた力が少し抜け、彼をさらに深くまで受け入れることができた。しかしそれもつかの間であった。 「……ごめん、無理……」  諦めのような吐息とともに突然強引に中に押し入ってくる。一体どこまで受け入れれば終わるのか、彼が抜き差しするたびに八戸は悲鳴のような嬌声を上げ続けた。  すると、唐突にそれまでとは違う鈍い衝撃が全身を駆け巡った。 「ひぐぅ……あ……奥……ぅ」  うまく言葉が回らない。鈍い衝撃に混じって甘美な感覚が腹の奥から溢れてくる。次第に堪えきれない快感の渦になって、八戸を飲み込んだ。奥を突かれるたびに、睦を締め付ける。 「あっ……、だめ……、だめ……そんな、奥……ぁぁああッ、ドンドン……しないで……っ」 「八戸さ……っ、もうイキそう……ッ」 「あぁ……ッ、俺も……だめ……、またイク……んぅぅッ」  不意に後ろから顎を掴まれると、唇を奪われた。傍若無人な舌が入りみ、八戸を更に追い込んでいく。前と後ろを塞がれ、溺れそうになった。  そして一際激しく突かれた瞬間、八戸の先端から勢いよく生暖かいものが飛び出した。潮を吹いてしまったようだ。 「──んんんッ……!」  ビクビクと痙攣している中、睦もきつく八戸を抱きしめながらスキンの中で吐精した。 「なんか……あっという間だった……」  ぜぇぜぇと息を切らしながら、睦はそんな感想を漏らしたのだった。
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