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夢
無理だ、と叫ぶ人がいる。
今さら、と嘆く人がいる。
とっくの昔に捨てた、とうつろな目をする人がいる。
子供のころ。
紙に記した将来の夢。
疑うこともなく。自信たっぷりに書き記した。
誰も笑わない。笑う意味が分からない。
大人になった。
夢を語ると、笑われる。夢を語ると、馬鹿にされる。
夢は輝きを失って。嘲笑すべき対象となる。
汗水を流して。未来に希望を抱けず。そうして生きる人がいる。
その中で。
齢六十を超えた一人の好々爺。
彼は、自分の職業について語った。
彼の職業は。学生。
笑顔でそう語る彼の目は。力強く。生命力に溢れていた。
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