−第一章− 涙で咲く花

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−第一章− 涙で咲く花

ここは、清華王国。清華王と王妃との間に王女(公主)が誕生した。 その王女こそが、清華王唯一の嫡女 麗花〈れいか〉である。 麗花は、心優しき両親に愛され美しく聡明な少女に育っていた。 異母兄の光俊王子や幼い同腹弟の 黎明王子と仲睦まじく日々を過ごしていた---。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■ 紅梅の香りに誘われた小鳥たちが、春の訪れを待ちわびていたかのよう見える。 ひとり、部屋で庭を眺める十六歳の誕生日を迎えた麗花は、ため息を覚える。 「私もあの鳥のように……。」 『羽ばたける日が世にくる』 後ろから聞き覚えがある声がする。 兄上---!! 光俊王子は異母兄で第一王子である。 『まぁ、それが鶏でなければ---。』 鶏!? なんて事を平気で言うのだろうかこの人は。兄であることを忘れたくなる。  ……というか兄は私を笑いに来たのだろうか。 何か私に用があるのだという。 すると女官が、何かをこちらに持ってきた。 それは、女性用のとても美しい衣と 綺麗な蕾の髪飾りだった。 衣には艷やかな金色の刺繍や花の刺繍がちりばめられていて、髪飾りとお揃いのようにみえる。 なんのことかわからず女官に問う。 「これは、公主様にとある方から贈られた品でございます。」   こんなに高価な物を私に---? 何かの間違いなのではないか。 そんな事を考えていると、今まで黙っていた兄が口にする。 「この品は、そなたに身に着けてほしいと思い父上が用意してくださったものなのだ。」 公務で忙しい父上が兄上に頼んだのだそう。 早速、頂いた衣と髪飾りを身につけ、ふと思う。いつもの自分と違って見える景色も悪くないのだと。 兄は、いつも私や弟のことを優しく接してくれる温かい方なのだと改めて感じる。 この蕾が花開くとき、私たちは相変わらず過ごせているだろうか−−−。 そんな日を夢みて−−−。
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