0さようなら、窓

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0さようなら、窓

ハッとして起きた。記憶に留めることのできない夢を見てたみたい。 新幹線の車内のカラカラとした空気が喉に張り付いて息がしづらい。ゆっくりと時間をかけて呼吸をする。 頭のどこかに微かに残る、夢の中のぼんやりとした輪郭に、二週間ほど前まで隣に居たの姿を思い出した。 季節が冬を終わらせようとしている頃、私は二つのものを失った。仕事と愛した彼を。 夢を追う彼を追いかけてきて、私は私でがむしゃらに頑張ってきたつもりだったけど、ポキリと音をたてて心が折れちゃった。 今私の目線の先には分厚いガラスの窓を隔てて、走ってもなんら代わり映えのしない田園風景と、どこまでも果てがないような晴れた青色と。 目を閉じて意識を手放す直前まで見ていたのは、ビル同士が背比べ競争をしているような灰色の東京の景色だったのに。 田舎に生まれ育った私は、私なりに精一杯背伸びをしたけども、無理矢理伸ばした背を支える足は頼りなくて、耐えきれなくって。 折れちゃったんだ。
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