お金がないの。

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 ✶✶  夜の帳がおりて聡子が睡眠薬の力を借りてやっとしかけると、古川比奈子が暗闇に姿を現わして夢と現実の狭間で悲しげに囁く。    「ね…ぇ……お金がないの…」 「ね…ぇ……お金返して…」  ──と。    わッと聡子が目を開けると目の前に比奈子の亡霊がかがみ込んで自分を射貫くように見ている。あの純黒の瞳で……。体は金縛りのように動かない。目だけを動かすと比奈子の背後には骨ばかりになった弟の哲也がと付いて、姉の肩越しに聡子を見ていた。  それもまた夢。                   END      
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