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「…ア!………リア!しっかりするんだマリア!」
突然クリアに聞こえてきた声に目を開ける
「よかった!目を覚ましたんだね!」
どちら様でしょうか?
ごきげんよう。
わたくしマリア・クレノーツと申します。
ただいま4歳!
クレノーツ伯爵家長女のいわゆるお嬢様ですね!
そんなわたくし前世を思い出しました。
その日わたしは弟のステン・クレノーツと庭園で遊んでいました。弟とは1歳離れていますので、ステンくんは3歳です。なにぶん前世を思い出す前のわたし典型的なお嬢様でして、甘やかされて育てられてきました。ですから、ステンくんにだけ与えられたおもちゃにすごく腹が立ちまして…。
おもちゃ、奪っちゃったんですよね〜〜。
といっても「よこしなさい!」と突然とりあげたものですから、ステンくんも驚いて手を離さなかったんです。そしたら大変!ステンくんの重さもあり、予想より重かったおもちゃにわたし吹っ飛びました。
それはもう、盛大に。棒状でしたからスルン!っと。遊んでいた場所から離れたところにあった池まで。
いや、あれは池じゃないんですかね?ふつうに小舟に乗ったりできるレベルなので、結構深いんですよこれが。
すぐに見張りの兵士に救い上げられたのですけど、あまりのショックに前世の記憶を思い出してしまったみたいで…。
それが、冒頭のあのセリフに繋がります!
あの時声をかけて下さったのが父親のアレン・クレノーツです。でもわたしあの時前世の記憶と今世の記憶がぐるぐるしていて、パッと今のお父様のお顔が分からなかったのですよね、ごめんなさいパパ。
あのあと「えっ……と、あの…」とどもっていたらお医者様らしき人がきて、「今は安静が第一です。暖かくしてお休みください。」と一人にしてくれたので助かった〜〜。
ドアの外に護衛の人がいるから声はだせないけどね。で、今ベットの中で記憶を整理してるってわけ!
私の前世、26歳会社員。彼氏なし。ショタコン。もう一度言いますね。ショタコン。
もーびっくりですよ!!追憶型の走馬燈みたいに思い出したのですけど、後半可愛い男の子の記憶しかない!!!!
あ、安心してください。3次元は姉の甥っ子だけでした。セーフセーフ。
しかも!大切な死因不明!26歳までの記憶しかなくて、どうやって死んだのか、そもそも死んだのかすら分からないこの!もどかしさよ!
そしてそして!今世、マリア・クレノーツ。クレノーツ家長女。優しいお母様のアリエラ・クレノーツとこれまた娘にデレデレのお父様アレン・クレノーツに甘やかされ4年…。そりゃわがままにもなりますよね〜〜。
それに弟のステンくんが産まれてからは、愛情がそちらにも向けられて寂しかったんですよね。うんうん。
まぁ、使用人とかにすごく我儘だったのは直そうと思います、はい。中身26歳だしね。
そんなわけで双方の記憶にね、整理をつけてたんですけどね、あの、先程からドアの隙間からステンくんがチラチラしてるんですよね…。
ドアを開けた音で気づいたのですけど、なかなか入ってこないので横目でチラッとみたら…ステンくん泣きそうな顔で見てる〜〜!!!なにそれ、可愛い…。結婚する????
……………ッハ!!!!!
やばい!!前世が!前世の性癖が今世にも!!!!なんてこった!!!!
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