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「はい、異常はなさそうですね。ご気分はいかがですか?」
ステンくんが来た後、わたしは気づいたら寝ていたようで今日は朝からお医者様に全身精密検査されてます!
「大丈夫です。ありがとうございます。」
お医者様の目を見てお礼を言うと、彼は目を丸くしていた。
もしかしてこの人わたしの主治医だったり…?
「お嬢様、落ちたとき頭を打たれた記憶はございますか?」
アッ直球に失礼!
顔にでてしまったのか、主治医は慌てて訂正した。
「申し訳ございません!その、随分と様子が違うようでしたので…」
これは…我儘お嬢様で振る舞ったほうがいいのかなぁ…?
みんなすごく困惑してるようだし。
一応今世の記憶もあるから、記憶が戻る前のマリアの振る舞い方も覚えてる。
例えば先程のご気分はいかがですか?って言う質問、きっとマリアなら「お医者様なら見れば分かることではなくて?」って返してた気がする…。
最近は特に性格ひねくれてたからなぁ…。
でも中身26歳よ??そんな我儘申しわけなさすぎる…!
思考の海に身を投げていた時、大きな音をたてて部屋のドアが開いた。
「マリア!!!!!」「マリアちゃん!!」
お父様とお母様が乗り込んできました。
二人とも目に涙を浮かべている。
「昨日、あの後会いに来れなくてすまないね。体調は大丈夫かい?」
「外出から戻ったらマリアちゃんが、湖に落ちたと教えてもらって居ても立っても居られなくて…!大丈夫なんですの!?」
ベットの前まで来た二人はわたしを覗き込んで話しはじめる。
おおう…聖徳太子になった気分…。
「お父様、お母様ご心配をおかけいたしました。」
二人にそう言って笑いかけるとピシッと音がしそうなくらい固まった。
「お父様…だって…?」
「お母様…ですって…?」
二人は顔を見合わせてどんどん顔色を悪くしていった。
「主治医!マリアはどうしたんだ!?頭を打ったのか!?」
「あぁ!マリアちゃんどうしましょう!?こんなに容体が悪いなんて…!!!」
お父様は主治医に掴みかかっていったし、お母様はわたしの頭を胸に抱いてさめざめと泣いている。
か、カオス……。
こんなに騒がれるなんて…。
たしかにマリアは今まで二人をパパとママと呼んでいた。
しかし26歳女、パパとママ呼びには少し思うところがある。だからお父様とお母様と呼んでもいいかな…チラッくらいの気持ちだったんだが…これは…。
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