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騒がしい様子を聞きつけてかもう1人男が襖を開けた
「全くこんな夜中に騒がしい、あぁ、その子がさっきの子かい?」
話には聞いていたのだろう男は千明に話しかける
「桂小五郎です、体の調子はどうですか?」
「大丈夫です、ほんとにありがとうございました。」
桂が来たところで吉田は再び千明に質問をする
「それで、君そんな男装なんかして何してたわけ?」
「女の格好で刀を差すわけにも行かないでしょう?」
何か強い意志を秘めた瞳で吉田を射抜く
「なるほど、な。お前、何のためにこんな宿場町にいるんだ?」
それを見ていた高杉が続け様に問いかける
「頃合いを見て京へ行こうと思っているので」
目の前で繰り広げられる淡々とした会話に桂が割り込む。
「とりあえず、今日は遅いですしこれぐらいにして、貴方ももう少し体が治ってからこれからのことを決めたらどうです?」
「いいんですか?」
驚いたように顔を上げ千明に桂は微笑みかける。
「えぇ、旅籠に泊まっていると言いましたね?荷物はそこに置いたままでしょう、晋作、稔麿」
取りに行くように、と有無を言わせぬ笑みを浮かべ桂は部屋を出る
「旅籠の名前は?」
そう高杉に聞かれ名前を告げると、明日荷物をとりにいってやるから、今日は休めと吉田と久坂を連れ、部屋を出ていった
ここは久坂の部屋だろうに、申し訳ないな
そう思いながらも1人きりの部屋で、冷静に物事を考えられるようになってきた頭で思い巡らす
初めに見た男は分からなかったが、桂小五郎と言えばなの知れた攘夷志士
長州のものだろう
さて、どうする
少し体を横向きにした所肩に激痛が走る
結局、この力に頼らないとなにもできない、か
自嘲気味に笑うと、誰もいなくなった部屋で静かに力を解放する
一瞬千明の瞳の色が変わったかと思うと、みるみるうちに傷が塞がる
・・・・・・・・・私は化け物でしかない
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