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3年前に新しい「父親」となった男に、私の体は何度も穢された。けれども、血のつながっている「母親」は、見て見ぬふりをし続けた。たまりかねた私がついに打ちあけたとき、母は言った。京子のほうからお父さんを誘惑したんでしょ、と。
自分にあてがわれた小ぎれいな部屋には、電気カーペットが敷かれてはいたが、底冷えするような寒さがあった。
3年近く前に亡くなってしまったおばあちゃんの家には電気カーペットなどなく、隙間風が入り込むくらい古い建物だったが、今、おばあちゃんが生きていれば、あの古びた居間で、こたつで暖を取れたのにと思うと、私は悲しくなった。
これからどうすればいいのか……。
時間はたっぷりあるのにお金がない。お金がなくても不自由しないのは考えることだけだ。それなのに、どんなに考えても肝心の答えが出てこない。
私はただ呆然と、トラックが去って行った道路の向こう側を見つめていた。
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