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私はかじかむ手に息を吹きかけながら、質より量を売りにしているスーパーが開くのを待っていた。
私は開店と同時に目的のワゴンへと急いだ。そして、賞味期限が翌日に迫っているために、半額シールが貼られた10個入りのロールパンを46円で手にした。
財布の中に残っているのは1967円。ついに2000円を切ってしまった。仮に、10個入りのロールパンを2日もたせたとして、大雑把に計算すると、とりあえずのところ、20日分の食料は確保できる。水分は公園の水道で何とかなる。やはり問題は夜を過ごす場所なのだ。
穢されてしまった体とはいえ、公園で夜をしのぐのはさすがに怖かった。公園のトイレにこもることも考えたが、個室がひとつしかないうえに和式だったから、座って眠ることも難しい。それに、扉と天井のあいだは50センチぐらい開いている。誰かがそこから侵入してこないとも限らない。一夜を乗り切るのに相応しい場所とは言えない。
そうかと言って、昨夜みたいにずっとコンビニの前で夜を明かすことはしたくなかった。あんな場所では、うとうとすることはできても、まともには眠れない。当然、体力ももたないだろうし、店員にも不審に思われ、いずれは警察に通報されるだろう。
私は先々のことを考えると心細くなって、せっかく手にしたロールパンの袋を開けることができなくなった。
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