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パンを口にすることなくスーパーを立ち去った私は、昨日と同じように、プレハブ小屋の前にある公園の石垣に座っていた。公園の時計の針は9時37分を指していた。
小屋をじっと見つめているうちに切なくなった。
その中に収められているであろう、木材や部品や工具類を羨ましいと思う反面、人間である自分が、物以下の存在なんだと思えてきたからだ。
自分が存在する意味がわからなくなった。私のような人間なんて消えてしまえばいいのか……。でも、自分には自殺する勇気もなければ、苦しまないで死ぬための方法も知らなかった。
いっそのこと、物にしてくれとさえ思った。物になれば、食料や眠る場所を確保する心配もなくなる。誰かに傷つけられても、痛みも何も感じないだろうし、考えなくて済む。
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