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ボランティアなのか雇われ人なのかはわからないが、公園の雑草を刈っている初老の男性がいた。草刈りならば、私にでもできるはずだった。もしも、そういった仕事があれば、真っ先に応募するのにと思うと、16歳に満たない自分の年齢を恨んだ。
夕方になれば、コンビニや100円ショップには高校生のアルバイターの姿を見かける。自分とたかが2歳しか違わないのに、頑張れば自分にもできるかもしれないのに、年齢がそれを許してくれない。14歳と16歳。たった2年の違いしかないのに、その差がとてつもなく高い壁に感じられた。
プレハブ小屋の隣には、手入れの行き届いた広い庭の奥に、3階建ての家があった。新しくはなかったが、立派な一軒家だ。その家の向かって左隣には一方通行の道路がのびていて、ちょうど角地に位置していることもあってか、この周辺ではひときわ目を引く家だ。
どんな人が住んでいるのだろうか。きっと、自分には一生つながりを持つことができないような、資産家なのだろうと私は想像していた。
ちょうどプレハブ小屋の横に、背の高い夏みかんの木があった。鮮やかなオレンジ色の玉をたわわに実らせたその木は、きれいに整えられた生垣のうえに枝が覆いかぶさっていて、そこから落ちたのだろうか、夏みかんがひとつ、道路のほうに転がっていた。
生唾が溢れてくるのは、酸っぱさを感じたからではなく、喉の渇きと空腹がそうさせたのだ。
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