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2013円しか入っていない財布をコートのポケットにしまうと、ぽつぽつと冷たいものが頬に当たった。私は、急いでリュックから折り畳み傘を取り出した。次第に強まっていく雨音。それはあたかも、刻一刻と絶望が迫ってくるような音だった。
頼れる親類縁者のない私は、2月半ばの深夜の寒さに耐えるために、この10日間、小学校時代の友達の家を渡り歩いてきたが、さすがにもう限界だった。今夜からいったいどこで夜を過ごせばいいのか……。
私はまだ14歳だ。漫画喫茶もファーストフード店もカラオケボックスも、深夜の時間帯は利用できない。
かといって、警察に相談したところで、自宅に連れ戻されるだけだ。けれども私は、絶対にあんな家には戻りたくなかった。
暗さを増してゆく空が、公園を取り囲む花壇の石垣に座っていた私の不安を募らせた。
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