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街外れの一角に、小粋で洒落た喫茶店が営まれていた。
喫茶店のドアの前で、1匹の雌の長毛猫がフサフサした尻尾をくゆらせて、店内を出入りする客の動向を見詰めていた。
その長毛猫の名は、『チャイ』と呼ばれた。
白い毛並みの猫のチャイは、保護猫としてこの喫茶店に貰われてから、この喫茶店の看板猫となった。
看板猫のチャイは、店内をうろついたりカウンター横で寝そべったりして、店にやって来る客達を萌えさせた。
「可愛いぃー!!」
「癒されるーー!!」
「ここに来て!チャイちゃん!!」
客の殆んどが、この看板猫のチャイが目的地でやって来た。
この喫茶店のSNSでのチャイの可愛い仕草の写真を次々アップして以来、夥しい数の『いいね』とフォロー数をマークして、
更にテレビのペット番組で、この喫茶店の看板猫のチャイを紹介してから、この看板猫のチャイの人気が火をつき、全国から海外からもこの長髪猫のチャイに逢いに来ていた。
「チャイちゃん!あんたは凄い『招き猫』よ!!」
店長の雅子は、日課のチャイのトリミングしながら、感慨深げに言い聞かせた。
しかし、そんな優しい日々は突然終焉を迎えた・・・
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