それから

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ

それから

高校を卒業してもうすぐ5年が経つ。 僕は暇な休日を過ごし、一人で街中をふらふらと、散歩していた。 にしても、今日は天気がいい。絶好の散歩日和だ。 …ん?何やら見覚えのある奴がいる。しかし、あの頃とは髪型も雰囲気も違う。 でも、なんだか声をかけてみたい。そう思って日陰のあるベンチで、ぼーっと座っている彼女に声をかけてみた。 「よう!久しぶりだな?〇〇だろ?元気だったか?僕のこと覚えてる?」 僕はドキドキしながら彼女の返事を待つ。 彼女は心底困ったような顔で、 「…?ごめんなさい。覚えてないです。」 と。 おや、覚えてない?まぁ、突然で思い出せないだけだろう。 「ほら、△○高校で3-Dの同じクラスだった□□だよ。1度だけ隣の席になったんだけど、覚えてない?」 彼女は考えて、考えて、考えている。終始唸ってる。 ……これは、思い出せないって感じだな。 「……非常に申し訳ない。覚えてない。でも!クラスも高校も合ってるからそうなんだと思う。ので、あんまり、気にしないで。私、人のこと覚えるの苦手だから。よく、あるし!good、lack!」 彼女は下手くそなフォローをしながら励ましてくれている。高校の頃も思っていたが、相変わらずよくわかんないやつだった。変わってないな。 「でも、仕方ないか。あんまし関わってなかったもんな~。」 「ほうほう。それなら、仕方ないな。」 「そうだけどね!ちょっと傷つくよ!?」 「ごめんごめん。今から覚えるよ、君のこと。」 「そう?」 「うん、よろしく」 「え。あ、よろしく」 あれ?意外と会話が成り立った。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!