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僕は東経大学の三年生で『ミステリー同好会』の会長でもあった。
今日は、月一の例会の日であり、同時に新年会も兼ねていた。
会員は、ばらばらに夕方の五時半頃、定番にしている駅前のスナック『M』に集合していた。
会員は二十名ほどで、なぜか男が多く、新入会員も数名いた。
実は数日前の夜、副会長の美佳とスマホで雑談した時に、
『新年会なんで、インパクトのあるヤツをお願いしまーす!』
と要望されてしまったのだ。
そこで僕は、先月、体験した事……僕の人生において、初体験の世にも恐ろしい話をすることにした。
何せ僕の体験……実話ということで、全員の視線の色が、いつもと違っていた。
それぞれのテーブルには、それぞれの好みの飲み物や軽食があるが、ほんの少し手をつけただけで、その手も僕に注目しているようだった。
ところが僕自身は、いたってこういう話はベタの方なので、いかに効果的に話そうか……と思案しながら、即席に造られた演台に上がった。
そこから見える窓外は、ミステリアスさを盛り上げるような残照に染まっていた。
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