対面

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「まぁ良いだろう。私からの提案も併せて聞いてくれるか」 「はい」 閻魔からの提案って、何だ? 少し構えて待っていると、閻魔の椅子の奥の小さな扉が開いた。 「ユキ。入りなさい」 そう言われて出てきたのは、オレと同い年くらいに見える、可愛らしい少女だった。腰まである長い漆黒の髪を揺らしながら、閻魔のところまで歩いて来ると、オレにちょこんとお辞儀をした。 「説明を始める。ここには生前罪を犯した人間が堕ちてくる。その人間達は、私との対面で三つの中から一つの道を選ぶことになる。一つは魂を浄化して生まれ変わる権利を有する。一つは罪を償うべく険しい修行。そして、最後の一つは……。即刻、魂の消滅だ」 魂の消滅。 多分それはつまり……。 「察しが良いようだな。魂の消滅は生き還ることも、生まれ変わることも、罪を償うことも出来ずに、存在自体を滅する」 ゾワッと、鳥肌が立つ。低音イケボの閻魔の声が、一層低くなったからだ。 「そのうちの一つをオレは選べるんですね」 オレが訊くと、閻魔は首を横に振った。
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