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「さ、こっちだよ、坊っちゃん。いいかい?閻魔様から直々のご対面の要請だ。うまくいけば、地獄から逃げられるからね。あの両親の事は、放っておきな。あたしから見てもクズだし……っとと」
えらく豪奢な扉の前で、ツネさんは人が変わったようにオレに話していた。
両親のことをクズ呼ばわりされたが、ツネさんはオレの味方っぽいし、寧ろ笑ってやった。
「いいかい、上手くやるんだよ」
「ありがとう、ツネさん」
「ノックは三回。呼ばれたら入んな」
そう言うと、ツネさんは消えてしまった。煙みたいにフッと。ここは地獄なんだから、もう何でもありだ。いちいち驚くのはやめよう。
フーっと深呼吸して、オレは豪奢な扉を三回ノックした。
「入れ」
ギィ、と扉が開き、中に入ると、何だか懐かしいような匂いがした。
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