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始まり
「来週から一人で暮らせ」
突然、父に告げられた。
僕は、いわゆる「高学歴ニート」だ。
有名大学を卒業し、就職したものの2ヶ月で辞職。それから家でいわゆるニートとして過ごし、5年目になる。
一ヶ月ほど前に奇跡的に再就職が決まったが、やはり数日で辞めてしまった。
しかし困った。
一人暮らししようにも、お金がない。
というか、収入源がない。
今までは、大学生活の仕送りの延長で、月5万の小遣いを貰っていた。それも明日で絶たれるらしい。
くそっ。
自分が悪いのはわかっているのに、何だか腹が立つ。
住む家もないのか、と言えば、両親もそこまで鬼ではなかった。父方の実家が空き家になっており、その管理を私に頼むという。おかげで家賃はかからないが、生活費は自分で払うしかない。
最後の頼みは僅かな給料と仕送りをストックしていた貯金だ。ネットバンキングによると、貯金は十万と少し。2~3ヶ月は何とかなる…のか?
学生時代は一人暮らしをしていたものの、家賃も、水道代も、光熱費も全部、親が出してくれていた。食費や交際費についても、仕送りが足りなくなればその都度ねだっていたため、実際いくらかかっていたかなんてわかったもんじゃない。
そうだ、携帯料金もかかるのだ。父名義のため、お金を払わなければ解約すると言われている。Wi-Fi環境も整っているはずもなく、そこから始めるとなるとプラスいくら必要になるのか…
そんなことを考えて頭を抱えていると、不意にノックの音がした。
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