登場

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登場

ココン さては、夕食か。それにしても珍しい、母さんなら一階から「ご飯よ~」と叫ぶはずだ。それにまだ夕方じゃないか。 僕はニートだが、引きこもりではない。ご飯は家族と食べるし、コンビニや映画、ショッピングなど、外出もする。 ココン もう、何だって言うんだ。 「母さん、わかったから、すぐ降りるから」 返事がない。 ココン ココン ああ、もう、うるさいな、何なんだ。 「何だよ、母さん」 半分キレ気味にドアを開けたが、そこに母の姿はなかった。 首をひねると、下から声がする。 「ここだよ、ここ」 声の出どころを確かめ、下に目をやる。 そこにいたのは、亀だった。
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