亀先生の授業

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「では、今度はそれに人を書いて」 え?人? 「仕事だよ、仕事。君は本当に察しが悪いなあ」 ついに亀先生はため息混じりだ。 この頃には亀先生が自分の思考に応えることには何の違和感もなくなっている。 そうか、コンビニにもスーパーにも、店員がいる。工場にも、市場にも畑にも…輸送のトラックにだって… 「うへっ」 途方もない作業に気付き、変な声がでた。 ここまできたら乗りかかった船だ。最後まで付き合ってやろうじゃないか。 そう、僕には特段やることもないのだ。 ニートだからな! 何だか変にテンションが上がってくる。 ライバルは昨日の小学生とやらだった。絶対に小学生には書けない仕事を書いてやる。 電気、ガス、水道、そうだ、浄水場にごみ処理場。コンビニの親会社の社員、スーパーの配送業者、レジ…そうか、レジを作る工場もかける。黒ペンに戻って書き足す。クレジットカード会社の社員まで思い付いたときは自分を誉めてやりたい気持ちだった。 1時間ほど書き続けて気付くと、紙は黒と青で埋め尽くされていた。もういいだろう。
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