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プロローグ
ベッドの軋みが、一段と深くなり、知佳は反射的に男の背中に回した腕に力を込めた。
「はぅ……っ」
ここまで殺してきた声も、抑えてきた反応も、全て無意味な抵抗だった。そう、知佳に思わせるような快感の波。
「いい、声」
勝ち誇ったように上から言われて、良心が胸をさす。
「もっと聴かせて」
そう言うと、更に奥まで穿とうとする。突き上げられる快感に、我も忘れてまた嬌声をあげてしまう。
「中、すごく熱い…」
くっと低く呻いて、知佳の上にいた男は上体を弓なりに反らす。
射精の気配を感じ取って、知佳は反射的に腰を引こうとしたが、逆に大きな手でぐっと掴まれる。
「大丈夫だよ、つけてるから」
上から余裕ぶった男の声が降ってきて、更に強く深く知佳の深層部を抉られる。
「……あっ」
自分を見失いそうな予感に戦くが、それを拒む術がない。
「イッてよ」
否応なく快楽の波に飲み込まれ、知佳は男の望み通りに果ててしまう。
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