⋆1smoke⋆

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_____終わらない。  パソコンに向かったままの体勢が長かったせいか、凝り固まったからだを何とか伸ばして大きく息をついた。 「終わらない……つか今何時だよ」  そのまま腕をうう~~んと伸ばしたらイスがギイっと音を立てた。時計の針は9時を過ぎた辺り。  誰もいなくなったフロアに俺の立てたイスの音が虚しく響く。 「だいたいさ~」  ギッ、ギッ、とわざと音を鳴らしてみた。 「てめーらの後始末したあとに自分の仕事を片付けてるのをしってて『定時なので帰ります』『残業はしない主義なんです』とかさ、ふざけんなっつーの」  ブツブツと呟きながら、そういえば煙草をしばらく吸っていなかったと思い出す。 「あ~~~ヤニ切れ。煙草吸おう」  立ち上がって喫煙室へと向かうことにした。  どこの部署もほとんどみんな帰っていて、残っているのはほんの数名……きっとみんな俺と同じ境遇のヤツラなんだろう、可哀相に。  廊下を進んで、喫煙室へと向かっていく。ヤニのにおいのこもるガラーンとした部屋に入った瞬間、気が緩んだ。  ベンチにどっかりと腰をかけポケットを探る。 「あー疲れた……ん?」  指先に触れた慣れない四角い感触に俺は首をひねる。 「なんだこれ。あ、マッチ」  取り出したそれを見た瞬間、さっきの出来事を思い出す。 ____こういうの、シガーキスっていうんですって。  あの時比留間は何を思ってそんなことを言ったんだろう。 「しかも最後の一本じゃないし」  バッチリと合った視線は、なんていうか、こう……。そこまで考えて、俺は慌てて首を振った。ドキンとか心臓跳ねらかしてる場合じゃない。  相手は男だぞ。
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