ドドリアさん

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 歩美は俺の高校時代の彼女である。  今ではれっきとしたぼっちだが、高校時代はそこそこ友達がいた。けれどその友達たちは全員地元に残ってしまったので、大学に行くために上京した俺はぼっちとなったのだった。  元々俺は特段顔がいいわけでもなく、性格も良くないのでモテる人間ではなかった。それでも俺はクラスの中心人物に、人気者になりたかったのだった。そのため俺は生徒会役員になったり、文化祭の実行委員になったりした。  その姿がカッコ良かったらしかった。文化祭が終わった後に告白された。正直嬉しかった。歩美の顔はクラスの中でもトップを争うレベルである。何より歩美はいつも元気で明るい。俺はそんな子がタイプなのだ。断るなんてできなかった。それが高校2年の出来事だった。  付き合って1年が過ぎた頃だった。俺たちは両方とも馬鹿だったので、受験勉強もせずどこかに行って遊ぶという日々をいつも過ごしていた。しかし、俺は正直そんな生活に飽き始めていた。何か変化が欲しかった。だから俺は少しの過ちを犯した。クラスの中で一番仲のいい女友達と性行為をしてしまったのだ。行為自体はそれっきりだったが何故かその行為が歩美にバレてしまったのだ。それから歩美はメンヘラ化した。1日に何十回も連絡するようになり、性格も1年前とは見違えるほどネガティブになった。  俺はただウザくなって歩美に別れようと言った。  なんとか別れることができたが、歩美はリストカットをし出したり、不登校になったりとより一層メンヘラ化が進んだ。このままじゃ俺の身が危ないと思い、俺は上京することを決めたのだった。  それから1年程度、特に何事もなかったので新しい彼氏でも作ったかと思っていたが、こんなことになっていたとは思いもしなかった。  自分の撒いた種なのだ。自分で刈り取らねばなるまい。
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