ドドリアさん

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 ということで、俺は夏休みが始まってすぐに実家へ行くこととした。新幹線代は親が払ってくれると言っていたので、どうせならと思いグリーン車に乗ることにした。  新幹線では、ただ何も考えずスマホを見たり、のどか過ぎて嫌気が差すほどの田舎の景色を眺めたりしていた。そうしてないと、狂いそうだった。  1時間ほど経っただろうか。気づいた時には着いていた。  駅からはタクシーで行こうと思っていたが、すぐ月着きたくはなかった。実家は徒歩でも行ける距離なので歩いて行くことにした。  懐かしい景色は、通り過ぎれば消えて行く。景色には俺の数々の思い出の破片が刺さっている。それさえも消えて行く。不思議と虚しくはなかった。  そして、家についた。 「ただいま」  俺の口からなんとか出た言葉は、すぐには両親へ届かなかったようで。数秒の静寂を過ごしたのち、父はこう言った。 「おかえり」  俺の上京について父は頑なに認めてくれなかった。だから、こんな少しの会話でさえ懐かしさを感じた。母からは延々と愚痴を言われ続けた。  母から話を聞く限り、どうやら毎日午後5時に電話をしてくるようだった。今は4時だ。元々、言いたい内容は昨日のうちに整理してあった。この長そうで短い待ち時間のうちにもっとうまく伝えられるように整理をした。  そして5時になった。    
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