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「はあ……」
俺は大きく息をついた。
俺は大学デビューに失敗したぼっち大学生だ。講義が終わった後にすることなんてバイトくらいしかないし、高校の友達も俺のいる大学には一人もいなかった。
バイトから帰る道には、おちゃらけた格好で街を歩く大学生たちがたくさんいた。いつも俺はそんな奴らが視界に入らないように、深く帽子をかぶって早歩きでその場を去っていった。
家に帰ってもyoutubeを見るか、本を読むか、そのどちらかしかしない。
こんな生活とはおさらばしたかった。
まずは陰キャ集団の中に知らぬ間に入ろうとした。周りからどう見られようが、俺は友達が欲しかったのだ。幸い俺の大学は(周りの大学と比べれば)隠キャが多かった。俺は積極的に話しかけにいった。
結果から言うと、俺は全く話についていけなかった。俺の趣味とあいつらの趣味がかぶることは一切なかった。そもそも、隠キャは必然的にボッチだともいえた。友達になる必要はあまりなかったのだろう。
ならばと言うことで、サークルに入ろうとした。しかし、俺は酒が弱いので飲み会を楽しめるとは考えづらいし、運動神経は皆無だし、と言うかそもそも中高の間では部活に入らず友達と遊んでたので、先輩後輩の関係なんかもわからなかった。
と言うことで俺は、ぼっち継続が決定した。
別にぼっち生活がつまらないわけではなかった。一人で料理をすると言う楽しさ、本の面白さ、など新しい経験をすることができた。それでも、友達と遊ぶ方が楽しいに決まってる。
そんなことを考えながら歩いていた時、俺の住んでるアパートのすぐ横に、段ボールに入った捨て猫を見つけた。その猫は生まれたばっかのような見た目で、拾ってくださいと言うかのような目でこっちを見ていた。いつもの俺なら無視していたが、今日の俺はなぜかこの猫を拾っていた。
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