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第1話
私の名前は志村麻菜。どこにでもいそうな女子高生。高校から女子校に入ったのだけど、思った以上に快適すぎたせいで彼氏いない歴=年齢だ。演劇部で音響を担当している。
そして、彼女の名前は姫宮愛夢。可愛いを詰め込んだ名前の通りに可愛いらしい女の子で、少なくともネット上の凛月ちゃんとは似ても似つかないイメージだ。かなりの努力家のため、入部以来ずっと主役の立場をキープしている。
愛夢ちゃんとは中学の頃からの知り合いで、いじめられていた私を助けてくれた恩人でもある。周りから見たらかなり仲良しの部類に入ると思うが、まさか趣味まで同じだとは思わなかった。
「まあ、会ったのが麻菜で良かったわ」
「私も」
愛夢ちゃんより仲が良い子なんていないから、正直ほっとしている。これでろくに話したこともない同クラの子だったら最悪だ。他の部員でも最悪だけど。
「会場ってここだよね?」
「そうね」
駅から会場は思ってた以上に近くて、ほとんど追求できなかった。少し残念。きっと愛夢ちゃんも同じように思っているだろう。
少し列に並んで入場証を貰う。そこから更衣室に入るまで、私たちはしばし無言でいた。
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