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第1話
愛夢ちゃんは私が頷くや否やカメラアプリを開いて私を目で促す。
きゅっと愛夢ちゃんの方に寄ってポーズをすると、「3秒ね」と小さく囁かれた。ああ、凛月ちゃんの声だ。愛夢ちゃんの高い声とは違う、低く落ち着いた声。どっちが地声なのかはわからないけれど、どちらもたまらなく好き。愛夢ちゃんに言ったら気味悪がられそうだけど。
それから何度か写真を撮っていると、同じ作品のコスプレをした人がこちらに近づいてきた。
「あの……もしかして志乃さんと凛月さんですか?」
控えめに聞いてきたメイド姿の彼女に、愛夢ちゃんが答える。
「あ、はい」
「わっ!本物だ!私えまって言うんですけど……」
「あ〜えまさん!お会いしたかったです!」
「覚えててくださったんですね!嬉しい!私お二人のコスプレ本当に好きなんですよ〜!」
きゃいきゃいしてる2人に完全に置いて行かれる私。ニコニコはしてるものの、脳内ではありとあらゆる記憶の棚を引っ掻き回していた。
え、えまさんって、誰〜〜!?!?!?
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