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「はぁ…」
今日何度目かのため息をつく。
あれから一日経った。
翔は気を失ってからまだ一度も目を覚ましていない。
「翔…」
ベットに横になっている翔の頭に手を伸ばす。
少しくせ毛の翔の髪を梳く。
「目を覚ましてよ…」
俺を一人にしないでよ…。
翔が翔じゃない生活なんて嫌だ。
翔が翔であるからこそ、俺は幸せなんだ。
生きている甲斐があるんだ。
翔の笑顔は俺を元気にしてくれる。
癒しなんだ。
「翔…」
好きだ…。
翔という存在がこの世に生まれた瞬間、俺は初めて生きる価値を知った。
翔が生まれるまでは、ただ平凡な日常を過ごしているだけだった。
何事も真剣になれず、行き当たりばったりな生活をしていた。
けれど、翔が生まれてから生きる意味を知った。
はじめて翔に会ったとき、この世にはこんなにも可愛らしい生き物がいるのかと驚いた。
そっと翔に触れれば、きゅっと俺の指を握ってくれた。
その可愛らしい行動に心が高鳴った。
そこからは生まれ変わったように行動が変わった。
いつか翔に頼られる存在になりたくて、必死に勉強をした。
そしてとにかく翔に時間を割いた。
時間が許す限り翔に会いに行き、翔と遊んだ。
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