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翔…。
早く目を覚ましてよ。
元の翔に戻ってよ。
よく笑ってよく怒る…。
そんな翔に戻ってよ。
早く俺にいつもの笑顔を見せてよ。
笑いかけてよ…。
目を覚ますと隣に眠っていたはずの翔がいなかった。
「…?」
不審に思い、部屋を見渡せば隅に蹲る翔の姿が…。
「翔…?」
翔に近寄り手を伸ばせば、翔はビクッと身体を震わせた。
「っ…」
その翔の反応に驚く。
顔を上げた翔は、どこか怯えた表情をしていた。
その表情に切なくなる。
「…」
すると翔が小さな声で何かを呟いていた。
その言葉が聞こえた瞬間、
「翔っ!」
俺は翔を引き寄せていた。
腕の中にそっと抱き込む。
だが、翔はすぐに俺を突き放そうとする。
「ぃゃっ!」
「っ!」
翔は言葉を発した。
さっきよりもはっきりと聞こえる声で。
でも…。
久しぶりに声を発した翔が口にした言葉は拒絶の言葉だった。
その言葉に咄嗟に口にしていた。
『俺から翔を奪わないで…』と。
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