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「ん…」
ふと頭を撫でられている心地良い感覚にそっと目を開ける。
「ぁ…起こしちゃった?」
撫でる手を止めないで、俺に微笑む颯。
「はやて…」
「ん?」
まっすぐ目を見てくれる颯に、数時間前までのことが脳裏に浮かんでくる。
「っ~~~~!」
「お?顔真っ赤じゃん」
「っ…!うるさいっ…」
真っ赤な顔を見られたくなくて、颯の身体に顔を埋める。
「かーけーるー?」
俺を落ち着かせようとしているのか、背中を撫でてくれる颯。
「思い出した?さっきまでのこと」
「っ!!!」
ビクッと身体を震わせ、颯から距離を取る。
「図星かぁ」
「だまって!!」
「あれれー?行為のおかげでいつもの翔に戻っちゃったね?」
「っ!!」
優しい笑みを浮かべながら、俺の頬を撫でてくる。
「よかった」
「っ…バカ颯」
「うん」
「さびしかったんだから…」
「うん、俺も」
「ぅ…ぐすっ…」
颯も俺と同じ気持ちだったってわかって、涙が出てきた。
「あーもう、泣かないの。啼く表情は好きだけど…いてっ…」
「バカバカ!うぅぅ…」
「あらら…」
いっそう泣き始めた俺を引き寄せ、あやすようにぽんぽんと背中を撫でてくれる。
「大丈夫。これからもっともっと溺愛してあげるよ」
2020年12月31日 完結
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