これから…

11/11
1430人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
「ん…」 ふと頭を撫でられている心地良い感覚にそっと目を開ける。 「ぁ…起こしちゃった?」 撫でる手を止めないで、俺に微笑む颯。 「はやて…」 「ん?」 まっすぐ目を見てくれる颯に、数時間前までのことが脳裏に浮かんでくる。 「っ~~~~!」 「お?顔真っ赤じゃん」 「っ…!うるさいっ…」 真っ赤な顔を見られたくなくて、颯の身体に顔を埋める。 「かーけーるー?」 俺を落ち着かせようとしているのか、背中を撫でてくれる颯。 「思い出した?さっきまでのこと」 「っ!!!」 ビクッと身体を震わせ、颯から距離を取る。 「図星かぁ」 「だまって!!」 「あれれー?行為のおかげでいつもの翔に戻っちゃったね?」 「っ!!」 優しい笑みを浮かべながら、俺の頬を撫でてくる。 「よかった」 「っ…バカ颯」 「うん」 「さびしかったんだから…」 「うん、俺も」 「ぅ…ぐすっ…」 颯も俺と同じ気持ちだったってわかって、涙が出てきた。 「あーもう、泣かないの。啼く表情は好きだけど…いてっ…」 「バカバカ!うぅぅ…」 「あらら…」 いっそう泣き始めた俺を引き寄せ、あやすようにぽんぽんと背中を撫でてくれる。 「大丈夫。これからもっともっと溺愛してあげるよ」 2020年12月31日 完結
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!