観察日記4日目

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 「......メロンパンとサンドイッチと唐揚げ。あと卵焼きとグミと梅キャンディ......ですよね」 「......分かりすぎてて気持ち悪い」 "好きな食べ物は?"という極めて簡単な問題に答えると、半田君は枕を抱き締めて後ずさった。  「何でそんな詳しいの?俺、察男君の前で梅キャンディ食った事あるっけ?」 「......休み時間に食べているのを何度か見ました」 「.........きもちわる」 「う".........っ、」  心の底から軽蔑したような顔の半田君。当たり前のリアクションとは分かっていても辛く、思わず顔を歪めてしまう。 「まぁ、察男君が気持ち悪いのは今始まった事じゃないし?そんな気にすんなよ」 「......はははぁ...」 ポンポンと肩を叩かれ、僕はぎこちなく笑った。  「まぁいいや。じゃ、2問目ね」 (何だかんだ楽しんでるよなぁ......) 枕を抱き締めたまま、半田君が「う~ん、何にしよかなぁ」と楽しそうに問題を考え始めた。  「ぅし!決まった!じゃあ2問目!!"俺のよく行く場所は?"」 「え?!お、屋上と......駅前?」 「ありゃあ~......残念。ハズレで~す」 「えっ!?」 「正解は"屋上と駅前と察男君の家"で~す」 「......左様ですか」  どうやら、僕の家も"よく行く場所"に追加されているらしい。嬉しそうに枕を抱き締めて、半田君が「えへへ」と笑った。  「......というわけで!不正解した察男君には罰ゲームです!」 「えぇ!?そんなの聞いてないですよ!?」 「うん。今思い付いたもん」 「くぁ~~......」 本当にこの人は......勝手に設定を追加するなんて、自由にも程がある。  「で。気になる罰ゲームの内容は.........」 「.........ごくり」 「でで~ん!"俺とキスする"です!!」 「あ~、何だそんなこ......ふぁっ!?」 え?今、この人は何て言った?キス??半田君と僕が???それは罰ゲームですか???僕的にはご褒美なのですが????  「俺の事が大好きな察男君の為の罰ゲームで~す。良かったねぇ~」 「えっ、あっ、おっ......ふえぇ...」 緊張で語彙力を失った僕の隣に、半田君が座る。手に持っていた枕は、ベッドの上に"ぽつん"と置き去りだ。 「じゃ、ほら。キスして?」 「えっ、ぅあっ......っほ!?!?」  慌てる僕を枕のように置き去りにして、半田君は話を進めていく。 (え、ちょっ、待て。キスってどうやるの?) 目を閉じてキスを待つ半田君の顔を見つめながら、僕は必死に考える。 (えっ、ちょっと待って......待って待って...) どうしていいか分からずフリーズしていると、半田君が目を開けた。 「......しないの?」 「......したいけど、方法が分かりません...」 「......くわぁ~......これだから童貞は.........」 「ど......っ」  確かに僕は童貞だ。しかしそれは半田君も同じなのでは?観察してきた限り、彼女と思われる人物はいなかったし、そういう噂も聞いた事はない。 (でもヤンキーだし......半田君イケメンだし......もしかしたら彼女いるのかもなァ...) もやもやと余計な事を考えていたら、半田君が「仕方ね~なァ~」と頭を掻いた。  「じゃあ教えてあげるから、その通りにして?」 「えっ?」 「俺がキスを教えてあげるから、察男君はその通りに動いてね?って事。おっけ?」 「......お、おっけぇ......です」 ははぁん、これがラッキースケベというものか。 鼻血が出そうになるのを必死に堪え、僕は半田君の言葉に頷いた。
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