95人が本棚に入れています
本棚に追加
「......以上。じゃあ皆、気を付けて帰れよ~」
担任のその一言でホームルームが終わり、ようやく1日が終わった。
(はあ......や、やっと帰れる......)
疲れた体に鞭を打ち、机の中の教科書を鞄に詰めていた......その時だった。
「さぁ~~つお君っっ!」
「おぎゃっ!」
斜め前に座っていた半田君が、僕の机をバン!と叩いた。突然の事に飛び上がると、彼がゲラゲラと笑い出す。
「んひひひひ!お、"おぎゃっ!"だって......んひひひひ......っ」
「なっ!なななっ!なんですか急に!?」
驚く僕を見て爆笑する半田君。思わず声を荒げると、彼は「あ、そうだっけ」とずれたマスクを直した。
「放課後ヒマ?」
「え?あっ、ひ...暇です、けど......何ですか?」
「遊び行っていい?」
「.........はい???」
急に何を言い出すんだ、この人は。僕は頭が真っ白くなった。
(遊びに来るって......何をしに来るんだ?)
ぐるぐると脳みそを動かすが、答えが出ない。フリーズする僕を見て、半田君は荷物を片手に立ち上がった。
「家帰ったら身支度整えてすぐ行くから。じゃ、またあとでな~」
「は~い......って、え!?ちょ、ちょっと!半田君!!??」
真っ白な頭のまま適当な返事を返すと、彼は僕の方を見ないまま手を振って、教室から出て行ってしまった。
「......てぇへんな事になったど...」
開けたままの廊下の窓から、春の生暖かい風が吹き込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!