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「え?察男君、こんな部屋に住んでるの?虐待だよこれ。警察に言おう?」
「......そこ、物置なんですけど」
僕をなんだと思っているのか。半田君は2階の物置のドアを開け、僕の顔を心配そうに見つめてきた。そんな顔をしなくても、そこは僕の部屋ではないので大丈夫だ。
「え?物置?なぁんだビックリしたぁ」
「ビックリしないでくださいよ......僕の部屋はこっちです」
物置の隣......正真正銘の僕の部屋に案内すると、彼は遠慮なくベッドに座った。
「ちょ、ちょっと......」
「ん?あ、ごめん。嫌だった?」
「い、嫌じゃないです......けど。まだ綺麗にしてない、し......」
「いいよ。俺の部屋より綺麗だし」
そう言いながら、彼は持ってきたビニール袋の中から、ペットボトルのお茶とお菓子を出した。
「ほら、察男君も横おいでよ。一緒に飲もう?」
「え、あ、はい......」
部屋のドアを閉め、僕は恐る恐る彼の横に座った。
ベッド横に置いてあるミニテーブルの上には、半田君が買ってきてくれたお茶とお菓子が置かれている。
「嫌いなのある?」
「い、いえ!大丈夫です!」
並べられたお菓子はポテトチップスとチョコレート、それからグレープ味のグミだった。
(グレープ味......好きなのかな?)
確かあのグミは、他にもピーチ味やコーラ味があったはずだ。その中からグレープ味をチョイスする辺り、彼はグレープ味が好きなのかもしれない。
(学校でグミ食べているところ、見た事ないもんなぁ......)
グミを見つめて思考を巡らせる僕の横で、半田君が首を傾げた。
「......食えばいいじゃん」
「え?!」
「グミ。見てねぇで食えばいいじゃん」
「え!?あ、いや、食べます......けど......グレープ味......好きなんですか?」
恐る恐る聞くと、彼は「は?」と言った。
「い、いえ、あの...このグミ、他にも色々な味があるのに......なんでグレープを選んだのかなって...思って......」
「え?他にも味あンの?」
「え???」
今度は僕が首を傾げた。まさか知らないとは思わなかったからだ。
「俺の寄ったコンビニ、これしかなかったけど......えぇ~…知らなかった。メモしとこ」
「め、メモって......ん"ン!!??」
「メモしとこ」と言って、彼がコンビニの袋から取り出したのは.........
「か、観察日記じゃないですかァ!!!」
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