観察日記2日目

5/8
前へ
/120ページ
次へ
 「え?察男君、こんな部屋に住んでるの?虐待だよこれ。警察に言おう?」 「......そこ、物置なんですけど」 僕をなんだと思っているのか。半田君は2階の物置のドアを開け、僕の顔を心配そうに見つめてきた。そんな顔をしなくても、そこは僕の部屋ではないので大丈夫だ。 「え?物置?なぁんだビックリしたぁ」 「ビックリしないでくださいよ......僕の部屋はこっちです」  物置の隣......正真正銘の僕の部屋に案内すると、彼は遠慮なくベッドに座った。 「ちょ、ちょっと......」 「ん?あ、ごめん。嫌だった?」 「い、嫌じゃないです......けど。まだ綺麗にしてない、し......」 「いいよ。俺の部屋より綺麗だし」  そう言いながら、彼は持ってきたビニール袋の中から、ペットボトルのお茶とお菓子を出した。 「ほら、察男君も横おいでよ。一緒に飲もう?」 「え、あ、はい......」 部屋のドアを閉め、僕は恐る恐る彼の横に座った。  ベッド横に置いてあるミニテーブルの上には、半田君が買ってきてくれたお茶とお菓子が置かれている。 「嫌いなのある?」 「い、いえ!大丈夫です!」 並べられたお菓子はポテトチップスとチョコレート、それからグレープ味のグミだった。 (グレープ味......好きなのかな?)  確かあのグミは、他にもピーチ味やコーラ味があったはずだ。その中からグレープ味をチョイスする辺り、彼はグレープ味が好きなのかもしれない。 (学校でグミ食べているところ、見た事ないもんなぁ......) グミを見つめて思考を巡らせる僕の横で、半田君が首を傾げた。  「......食えばいいじゃん」 「え?!」 「グミ。見てねぇで食えばいいじゃん」 「え!?あ、いや、食べます......けど......グレープ味......好きなんですか?」 恐る恐る聞くと、彼は「は?」と言った。 「い、いえ、あの...このグミ、他にも色々な味があるのに......なんでグレープを選んだのかなって...思って......」 「え?他にも味あンの?」 「え???」  今度は僕が首を傾げた。まさか知らないとは思わなかったからだ。 「俺の寄ったコンビニ、これしかなかったけど......えぇ~…知らなかった。メモしとこ」 「め、メモって......ん"ン!!??」 「メモしとこ」と言って、彼がコンビニの袋から取り出したのは......... 「か、観察日記じゃないですかァ!!!」
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加