貧者の食卓

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貧者の食卓

ba4197b9-26aa-4ddf-a031-8af711496dac第1章:ご飯 <状況> あー、腹減った。 でも食べる物が無い、米しか・・・・ だからと言ってスーパー行ったりコンビ二行ったりしたくない。 そりゃ、生きてりゃそんな日だってあるだろう。 誰とも会いたくない、どこにも行きたくない、でも腹減ったーそんな日が。 今日はまさにそんな日だ。 なので米を炊いて米だけで食べることにした。 味噌汁無し、総菜無し、漬物無し、ましてやおかずなんてあるわけない。 とにかく何もないこの状況、せめて炊き方にはこだわることにする。 <米を鍋でー> (「それじゃ炊くか、鍋でー」) え、そこは炊飯器を使えばいいんじゃないのか、だって? そんな便利なモンは無い、とゆーか無くても炊ける。 慣れないうちはコンロにかけた鍋に付きっ切りになる必要があるだろうが。 でも炊飯器よりちょっとは早くできるしお焦げだってつけられる。 おいしく食べるためには出来るだけうまく炊き上げたい。 うまく茹で上げられた麺同様、うまく炊き上げられた米はそれだけでうまい。 それを自分でやったならなおさらだ。 炊き加減の状態をチェックをするため味見する際に気を付けなければならない事がある。 それは味見が止まらなくなる事だ、うまくできた場合。 ちょっとのつもりがおいしくてついつい食べ過ぎて結局、全部食べちゃった、 そんな経験があったうえでの”米だけ”だ。 <実践> 米の分量は一人前というにはちょっと多いかもしれない1カップ=200mlと する。 これより少ないと数量メリットが効かずうまく炊くのが難しくなる。 なのでこれを最小分量とした。 ここで「200mlってどれくらいの量?」とかいう声が聞こえてきそうだ。 計量カップがあれば話は早いのだが。 しかしその代わりになる容器はかなりの確率で身近にある。 それは湯飲み茶碗だったりマグカップだったりする。 あれが大体200mlだ、違う場合もあるだろうが・・・・ ・まず米をその200mlカップ(容器)に“すり切り”で入れる。 すり切りというのは米がカップに山盛りになって入っているとしてカップ上でそれを平らにびっしりとならした状態のことだ、そしてそれを鍋に移す。 ・次に空いたカップに水200mlを入れそれを鍋に加える。 更にその鍋にカップの水200mlの20%つまり40mlを加える。 これが肝、今回、一番大事なところだ! ”全体の20%の分量の水”を加えることで米は水分を適当に含んでふっくらと炊きあがる。 それが無ければ炊いた米には水分が足りず所々に芯が残り良い出来にはならないだろう。 ・その鍋を夏で30分、冬なら1時間くらいほったらかしておく。 と、いうと聞こえが悪いが要するに米に十分、吸水させる。 これが足りないとやはり米には芯が残る。 チャーハンを作る時など更に加熱する場合はそれでいいかもしれないが。 そしてここまでは炊飯器でも同じこと。 炊飯器を使わなければここからの作業を人がするわけだ。 ・然るべき時間が経過した後でいよいよ米を炊く作業に入る。 炊飯器を使うなら炊飯器のスイッチを入れる。 鍋調理の場合はおもむろに鍋を乗せた加熱機器のイグニッションをオンだ!(コンロに点火だ!) やればわかるがここから先は観察を怠らず自然な流れに身を?ゆだねる。 ・水が沸騰するまで、鍋の蓋が水蒸気圧でカタカタ言い出すまでは強火。 しかしそのままにしておくと吹きこぼれるのでそうなったら鍋蓋を取って残り の水分が飛ぶまで更に火にかける、火加減は中火。 ・水分が見た目には無くなってプチプチという音が聞こえたら火を消す。 お焦げが食べたければそこからもう少し火にかけておけばいい。 この段階で米をちょっとつまみ食いしてみればまだ食べるのに適した状態ではないのがわかるだろう。 (「何これ?」) (「失敗しちゃった?」) (「どうしたらいいの?」) そう思っても無理はないーしかしそれでいい、まだその先がちゃんとある。 せっかくトライしたのにやるんじゃなかった、時間の無駄だった、と、残念な 気持ちで鍋の蓋を元に戻してそれをしばらくほったらかしておく。 「ほったらかすの、また~?」 と、言うかもしれないがそれでいい。 何故ならそれは”蒸らし”という必要欠くべからざる重要工程を行っている事になるからだ。 この蒸らす行為によって米に残りの蒸気が入り余熱でふっくらとなるのだ。 ・・・・がっかりした気持ちから20分かそこらの時間が経った。 (「何か魔法か奇跡が起きてちゃんと食べれるようになってないかなあ。」) などとあきらめ気分で鍋の中を覗き見てみれば― (「あ、なんかふっくらしてる、食べられるんじゃないの、これ!?」) 蓋を元に戻しておいたので米はさらに蒸らされ芯は無くなりいい感じになっているだろう、多分・・・・ 欲を言えば火を消した時点で米を混ぜ返してやりたかった。 そうすれば熱がより均一に行き渡ってより良い状態になる。 <試食> とにかく何とかできたその炊きたての米を早速、食べてみる。 多少パサパサだったり水っぽいかもしれない、場合によっては嬉しい誤算でお焦げができてるかもしれない、いずれにせよ十分、食べれる代物にはなってるはずだ。 上述の作業を今後もやり続けたならもっとうまく炊けるようになるだろう。 うまく炊きあがった米はそれだけでおいしい! それをぜひとも実感して欲しい。 <食事中> モグ、モグ、モグ、モグ・・・・ そして食事となったーまさに米だけで、だ。 (「味噌汁欲しいな・・・・」) だがそこには食べながら味噌汁の事を考えてしまう自分も確かにいた・・・・
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