貧者の食卓

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第4章:肉野菜炒め <状況> あー、腹減った。 でも食べる物が無い、だからといってスーパー行ったりコンビニ行ったりしたくない。 生きてりゃそんな日だってある。 誰とも会いたくない、どこにも行きたくない、でも超腹減った、そんな日が・・・・ だがスーパーで買った残りの食材がまだある! しかしそろそろ悪くなり始めたり風味が無くなったりする頃だ。 無駄になる前に使い切らないと― そんな訳で今回はメインのおかず紹介にして食材使い切り企画にしてそして、最終回だ。 とは言え大したもんは作らない、かなりうまくはあると思うが。 ごはん、味噌汁、浅漬けと続いて最後に登場するのは―肉野菜炒めだ! イェーイ! これだけ揃えば見た目は豪華?栄養バランスが良く色々な味が楽しめお腹も しっかりと満たされる。 これぞまっとうな食事というものだ。 だがそういつもいつもそんなのを作って食べているわけではない。 何故か―決まっている、”面倒くさい”からだ。 いくらそれなりに調理できるようになっても気乗りしない時はある。 しょっちゅうある。 それに自炊においては作ってでき上がってもそこではまだ道半ばだ。 食べた後には後片付けが待っているのだ。 (それを怠ると台所で未知の生物が発生する・・・・) その事を思い憂鬱な気分に支配されたなら「あー、面倒くさい!」となる。 しかしその面倒さを乗り越えてやる気が今ならあるのだ! <実践> 例によって米は事前に研いでおく。 炊き始めるのは味噌汁や野菜炒めを作るのと同時くらいで。 でも初めのうちは米炊きは米炊きだけ、味噌汁作りは味噌汁作りだけ、と ひとつずつを確実かつ丁寧にやった方がいいだろう。 慣れてしまえば米を炊き味噌汁を作り野菜炒めも、と出来るようになる。 米を炊き始める。 炊飯器(鍋で炊くなら鍋の乗っているコンロ)のスイッチをオン。 次に味噌汁作りに取り掛かる。 みそ汁の具は豆腐、わかめ、長ネギ。 それらの具材を食べやすい大きさに切る。 水を入れた鍋にだしの素を入れこれまたコンロのスイッチをオン! え、「コンロの口は一個しかないよ!」だって―結構だ。 その場合は一つ一つの品をかわるがわる作るだけだ。 そしてその場合はより丁寧に落ち着いて作ることができるだろう。 水が沸騰してきたら具材を入れ軽く煮込み味噌を適量(自分好みの量)溶き 入れる。 味噌を汁に均等に溶け渡らせひと煮たちさせたら出来上がり。 次はいよいよ肉野菜炒め作りに取り掛かる。 具材は豚肉、玉ねぎ、ピーマン、キャベツ。 各材料の分量は例によって適当だ。 適当だがいつも作ってる感じで言うと2人前は以下の通り。 玉ねぎ:2分の1個。 ピーマン:1~2個または無し。 豚バラ肉、またはこま切れ肉:150~200g。 キャベツ:玉ねぎ、ピーマン、豚肉を全て合わせた量よりは多いくらい。 キャベツの量が多い方が自分的には好みなのだ。 玉ねぎ、ピーマンは豚肉、キャベツより少ない方がいい。 しかし重ねて言うがそこは適当だ。 ・まずキャベツの葉を食べやすい大きさに切る。 包丁で切らずに手で荒くちぎってもいい。 するとワイルドで食べ応えのある食感になる。 ・次にピーマンを縦に切り種を取り細切りにする。 この種取りがちょっと面倒くさい、大したことではないが。 それにストレスを感じるならピーマン、無くていいかも。 ・豚肉を食べやすい大きさに切る。 ・そして最後に玉ねぎを切る。 2人前だと1個を縦に切ってその半分を半月切りにする。   何故、玉ねぎを最後に切るかと言えばそれにはちゃんと理由がある。 それは”泣けてくる”からだ、特に包丁の切れ味が悪い場合は。 それで視界が妨げられながら他の食材を切るのは危険だ。 もっとも豚肉を切った際の油分で包丁が滑りやすくなるのも危険だ。 そのため切るのは豚肉が最後、という選択肢も無くはない。 ・フライパンを火にかけしばらくしたらその上空で手をかざし熱さを感じるまで待つ。 そうなってきたらそこに油を適量(塗膜が薄く張るくらい)加える。 そしてそれをフライパン全般に行き渡らせるようフライパンを動かす。 ・次にフライパンに具材を順次、投入する。 玉ねぎ、ピーマン、キャベツ、豚肉と― ・玉ねぎを入れ焼き色が付き始めるくらいまで炒め香りと甘みを引き出す。  この作業は重要だ、これがおいしくなる決め手といってもいいくらいだ。  そうする事によってキッチンは早くもおいしそうな匂いに包まれるだろう。 ・次にピーマン、キャベツを同時に加え炒める。 炒める前は(「キャベツがちょっと多過ぎないか?」)と、思うだろうが熱を帯びて水分が飛ぶとキャベツは相当かさが減る、減っていい感じのボリュームになるだろう。 ・そして最後に豚肉を加える。 豚肉が最後なのは火が通り過ぎて無駄に硬くならないようにするためだ。 いい感じの焼き色は付きにくくなるが・・・・ 炒めて肉全体の変色が半分以上進んだらもう火を止めていい。   「え、豚肉って火をよく通す必要があるって聞いたけど?」 その通りかもしれない、でもそれでいい。 なぜなら余熱で肉には更に火が入るからだ。 ・最後に調味料を加える。 炒めながら焦ってやるより火を止めて落ち着いてやる方がいいだろう。 その調味料とは今回は塩だけ(胡椒があれば胡椒も)だ。 それだけに塩にはこだわりたい。 こだわると言ってもその塩が取れた産地、銘柄とかではなくて”入れる分量に”、だ。 ”適量”の塩を加え入れる―これが最重要ポイントだ、漬物の時にも言及した! 塩加減さえビシッと決まっていればたいていの料理はおいしくなるのだ。 塩の適量さ加減(丁度いいしょっぱさ)には個人差がある。 そのためこれを明確に示す事はできない。 最初の内は塩の量を少しずつ加え入れて自分の塩加減の好みを探るべきだ。 これも既に言った、これは何回でも口を酸っぱくして言いたくなる事なのだ。   それをフライパンに投入して胡椒も入れるなら入れる。 フライパンを再度、熱して具材と調味料が満遍なく混ぜ合わさったら火を止める―それで出来上がり! <食事中> 今ここにご飯と味噌汁と漬物と肉野菜炒めがある。 遠くから来た海のもの、山のものが台所で一堂に会するというその不思議。 それらを加工し組み合わせてできた食卓に上がるメニュー・・・・ これぞ文化だ、食という名の文化、食文化だ! そしてそれを食べる事ができる幸せ― そんな事を考えながら食べる自分がいつもいる。 おわり
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