第四話

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第四話

 女の子に向かって、いきなり胸ぐらを掴んで怒鳴ってしまった俺だったが、葵ちゃんは、素直に従った。彼女は、直ぐにタクシーを停めた。冷静になってきて去ろうとする俺を、「一緒に来てください」と彼女は呼び止めた。ついていくべきか分からなかったけど、とにかく急がなきゃいけないのは確かだから、彼女に従った。タクシーに乗って、病院に向かう俺達。葵ちゃんは、喋らなかった。ただ、俯いているだけで、彼女の感情は上手く汲み取れなかった。ただ、時間をかなり気にしていた。俺のあの衝動的な行動が、彼女の考えを芯から変えてしまったようだった。今の状態を見るに、そうとしか考えられない。俺の行動は失態だった。けど、今の彼女はおそらく正しい行動を取っている。  病院につくと、彼女は走っていった。葵ちゃんの姿が直ぐに消えてしまったので、俺はロビーで待つことにした。一緒に来てと言われたのだから、待っていた方が良い気がした。
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