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「はー、楽しかった!」
「また明日なぁ!」
ゲームセンターを出たところで、大きく手を振り、各々別れて帰路についた。暁海は「ほな行こか」と、また自転車のサドルを叩いた。三上を駅まで送るのは、いつでも暁海の役目だった。
「は~、ホンマおもろかったな~」
自転車を漕ぎながら、暁海が嬉しそうに話しかけてきた。
「そうだな」
背中越しに答えを返す。浮かんだ小さな笑みは、暁海からは見えない。
「しっかし、来年は受験かぁ~。もうこんな風におおっぴらに遊ばれへんのやろなぁ~」
「そうだな」
「もしかしたら、今が人生で一番楽しい時かもしれんな。いやこれマジで」
「………………そうだな」
※ ※ ※
「ほな、また明日な!」
「おう」
駅前で自転車を降り、二人も別れた。
(今が人生で一番楽しい時……か)
「……おい!」
気付いたときには、背を向けて去ろうとする暁海に声をかけていた。
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