ラッキーホームレス

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 しかし、月に叢雲花に風じゃ。  住み込みを初めて半年もしない内にわしは男に暇を出されてしもうた。  小説が売れなくなって印税が入らなくなった男は、元々金遣いが荒いから貯金が底をつき、家のローンが払えなくなり、わしを養う余裕がなくなったのじゃ。  言わずもがな、わしはホームレスに戻った。  元の木阿弥じゃ。  で、その3ヶ月後、わしがA駅地下街の通路で寝ておると、かの男がやって来て前とは全然違って乱暴な言葉遣いで声を荒げて話しかけて来た。 「おい!起きろ!糞ったれ!」  わしは少々頭に来て起き上がった。
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