第5品 作り置きはカレーに限る

1/1
前へ
/10ページ
次へ

第5品 作り置きはカレーに限る

パスタのバリエーションが三つに増え、多めに買ってしまったパスタを消費しきり、やりきった感で満たされていたのだが、ここに来て新たな問題が発生する。 「パスタって実は一番時間かからなかったから一人暮らし的には最強だったんじゃね?」と言う頭の悪い考えが浮かび、という事は僕はそんな最強なものを必死こいて手放そうとしていたという事だ 何が言いたいかというと、パスタが無くなったことで何を作ればいいかわからなくなったのだ。 実際パスタは楽だったのだ、少し金はかかるが、時間はかからず行程も少ない。結果として楽に早めにご飯が食べられたのだ。 しかし、パスタが無くなったらどうだ?ご飯は炊いておかなければならない、おかずは一々作らなければならない。想像しただけで面倒極まりない。 その上、買い物も毎度しなければならない上、献立も毎度考えなければならない!初めて母親を尊敬した。 嘆いていても仕方が無いのでどうにか楽をしようとない知恵をまわし、至った結論はとりあえずスーパーに行くことだった。 例の如くスーパーにふらっと立ち寄り、分かりもしないのに野菜や肉のコーナーを回る。 「どうすればいいんだろ?」今まではパスタの材料を買うと言う目的があって来ていたのだが、目的が無いと途端にどうすれば良いのか分からなくなる。 そうして宛もなくスーパー内を右往左往していると、子供の声が聞こえてきた 「ママー今日カレー食べたい」 するとその子供の母親は 「レトルトでいい?」 と聞き返しながらアニメのイラストがあるレトルトカレーを子供に見せると 「これがいい」 と言ってカレーのルーの箱を母親に渡した この瞬間、僕は気付いた。 「カレーなら日持ちもするし楽なのでは?」と こうなったら善は急げである、親子の会話など何ぞその、辛口のカレールーを取って近くにあったカゴに入れ、ルーの箱の裏面に記載してある、じゃがいも、人参、玉ねぎと今回は安かった鶏肉を手に取った。 会計を済ませて手早く袋の中に詰め、少し重たい袋を片手にそそくさとスーパーを後にした。 家に帰ってからまずはルーの箱とにらめっこしながら作り方を参照した。 「とりあえず書いてある通りに作れば大丈夫」不安を押し殺すように声を出し、調理を開始させた。 買った野菜をよく洗い、玉ねぎの端を落として皮をむき、半分にして薄切りにする。 人参も両端を落として、ピーラーで皮をむき、1口大に。 じゃがいもはよく洗って土を落とし、芽の部分を切り取り、ピーラーで皮をむき、こちらも1口大に。 鍋に油を敷き、切ってある鶏肉を入れて火をつけ焼き色が付いたところで、玉ねぎを投入 玉ねぎの色が薄くなるまで炒める。相も変わらずいい匂いをさせるし、相も変わらず目を痛くする。玉ねぎはとても不思議である。 色が薄くなったら、じゃがいもと人参を加え少し炒め箱に記載されてある通りの水の量を入れる。 沸騰するまで放置し、その間に空いた食器を洗っておく。この前の二の舞は振る舞わないように気をつける。 沸騰したタイミングでカレーのルーを入れ、溶けるよう混ぜる。ルーが溶けきり鍋全体に行き渡るように混ぜ、とろみが出るまで煮詰める。 カレー特有の良い香りがしてきて食欲が湧いてくる。 とろみが出たところで火を止めて完成である。 ご飯を温め、その上にカレーをかけいざ実食である。 「おぉーカレーだ」当たり前な感想ではあるが自分で作ってみると感動するものがあるのだ。 ルーとご飯をスプーンに載せ口に運ぶ、味の感想はと言うと 「おぉーカレーだー」特に変哲もないカレーである。普通に美味しいのだ美味しいのだが誰が作っても美味しいカレーだ。アレンジも何もせず基本のレシピ通りに作ったため、ごく一般的なカレーである。 それでもご飯は進み、おかわりまでしてしまうほどだった。 二杯目を無事に食べきった。どこか大変そうなものだと認識していたカレーだが切って煮るだけ、面倒なのは切る事と煮ている間の待ち時間だけ。とても楽で日持ちもするし量も作れる。 カレー最高である。どうしてこんなに便利なものに気づかなかったのだろうか? 「まぁなんでもいいや、これでしばらく楽できるぞー」 とにかくこれで数日は持つはずである。 そう、ここまでは良かったのだ…… 量があるからと朝もカレー、昼にカレー、夜もカレー三食続ける事を数日、飽きるのであった。 少し短絡過ぎた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加