第八品 安く手軽でボリューミーな肉料理

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第八品 安く手軽でボリューミーな肉料理

 贈り物である立派なハムを食べきってしまい、一抹の寂しさに包まれていた。  少ないお金でやり繰りをしていたところに、あれだけ満足度の高い肉の塊を食べてしまうとちまちましたものでは物足りないのだ。  かと言って、大きめの肉を買えば予算に不安が残る。 「辛い、とにかく満足のできる肉料理を安く食べたい!」  僕の思考は今、これでいっぱいだった。 「どうにかならないのかなー」  どうにもならないことをひとり呟いて、とりあえず買い物に出ることにした。    はっきり言ってしまうと、ノープランで家を出てきたため、何を買えばいいのか分からないまま、店内を練り歩いていた。 「もう、弁当でも買おうかな」と少しの出費に目を瞑り、総菜コーナーに向かった。 「いろいろあるなー。どれにしよう?」そう悩んでいると、運命に出会った。  満足感のある肉料理で低コストで作れ物の存在があった。  すぐさま、その料理に必要な材料を調べ上げ、野菜のコーナーから回り直し、必要なものを籠に入れていった。  今回買ったものは、玉ねぎと鶏ひき肉、パン粉と豆腐だ。  ほかに必要だった卵と牛乳は自宅にあったため、割かし安く買い物をすることができた。  携帯に記載されてあるレシピを見ながら、調理を開始した。  先ずは、玉ねぎを微塵切りに  自炊を始めてから幾度となくやってきたので大分スムーズにできた。  誰かに自慢したい。  次に、ボウルに買ってきた鳥ミンチとみじん切りにした玉ねぎ、パン粉、卵、牛乳、塩、胡椒、そして豆腐を入れて混ぜ合わせる。  混ぜるときは手早くがコツだそうだ。  材料を混ぜている時の感覚は、田んぼの中の泥を掴んでいるようでなんだか楽しかったし、気持ちが良かった。  全体が混ざったと思ったら、楕円形に成形する。  空気を抜くため両手に肉塊を往復させる。  往復びんたをしているようで気分がよくなった。  材料がある分だけ、同じことを繰り返す。  フライパンに油をしき、火をつけ温まったタイミングで作った肉だねを投入。  片面にしっかりと焼き色が付いたら、裏返して蓋をし蒸し焼きに。  ひっくり返すときは形が崩れるんじゃないかと冷や冷やものだった。  ある程度火が通ったら皿に盛り付ける。  空いたフライパンにケチャップと中濃ソース、にんにくを入れて少し煮詰めソースを作る。  台所にはいい匂いが広がり、待ちきれなくなった。  盛り付けられてるものにソースをかければ豆腐ハンバーグの完成である。  見事なボリュームと焼き色。我ながら素晴らしい一品を作れた自信がある。  早速実食。箸で割ると中から肉汁が零れる。  この段階でもう美味しい。いざ口に入れると、得も言われぬ美味さが  ジューシーでボリューミー。満足感しかない!  ときおり顔を覗かせてくる豆腐の味も食感も面白い。  食べるスピードが落ちることなく無事完食である。  満足感、充実感ともに最高で誰かに自慢しようとして、写真のフォルダを開く  そこに立派なハンバーグの姿はなく、撮り忘れたことに気が付き、すごいショックを受けたのだった。    ちなみに後日、余った材料で再度挑戦したが途中で形が崩れたため、お蔵入りとなった。  
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