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「まず鉄さんの報告を聞こう。鉄さん、お願いします」
影原主任は鉄さんの方を向くと、鉄さんは立ち上がり報告をした。
「奥澤は相も変わらず、オドオドとした態度をとっているが事件当夜、奴が電話していた相手が分かった」
「流石、鉄さんだな。相手は誰だった?」
「主任の思ってた通り、窃盗団の一人だった。無論、変声機を使用してはいるし、飛ばし携帯を使ってる為、相手の名前までは特定できないな」
「しかし、興味深い。いつもならメールで対応していたのに、事件当日に限って電話をかけるなんてな」
「それなんだが、実際は違っていたんだ」
「違う?」
主任は首を傾げつつも、鉄さんの報告に聞き続けた。
「奥澤は窃盗団と連絡をとる際は事務所のデスクトップパソコンを使用していたそうだ。アカウントもメールアドレスも仕事用から送られてくるそうで、きっかり夜9時に送られてくるので、それまで残業する日が多かったんだと。ところがある人物が事務所にいつくようになってから連絡する手段が取れなくなった。そこでメールから電話にせざるを得なくなったと」
「ある人物?一体、誰だ?」
主任の眼がギロりと光り、鉄さんはその人物の名前を呼んだ。
「鮫崎辰也だ。仕事帰りに頻繁に事務所に寄ってたそうだ。理由は勿論、奥澤の不正の証拠を手に入れる為だろう。因みに時間は午後7時から午前0時まで事務所のパソコンと睨めっこをしていたそうだ」
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