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「つまり死産は彼女がついた嘘……」
「いいや、そうとは限らないぞ」
私がそう口走ると横から陽向管理官が否定した。
「鮫崎氏と別れて、新しくできた子かもしれないじゃないか。そこん所は調べたのか?」
「はい。どうやら黒瀬さんは父親は女と一緒に逃げたと周囲に言い触らしていたようです」
これでは父親が鮫崎氏とは断定できない。
だが、成瀬さんの報告は終わってはいなかった。
「しかし彼女が住んでた年を覚えており、昭和61年だと」
「61年といえば彼女は18歳。どうやら、死産は彼女がついた嘘で本当は密かに産んでいたんだな」
「その子は今、どこに?」
「黒瀬さんがお亡くなりになった時、その子は当時、4歳でしたが身寄りがいなかった為、施設に送られたとまでは調べはついているのですが、どの施設までかはまだ調査中です」
「今度は鮫崎氏の隠し子か……また謎が増えたな」
陽向管理官を筆頭に全員がため息をついた。
でも、この男は違っていた。
「調べなくてもいい。隠し子が誰かは分かってる」
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