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私達は口を開けたまま、凝固していた。
そこにいた影原班の仲間達や各班長、更には武島律子までもが驚いていた。
しかし、真相を早く知った陽向管理官は写真ではなく、影原主任を見つめていた。
氷室雄一が鮫崎剛志の隠し子。
そして、この事件の犯人。
でも、動機は何?
疑問がどんどんと頭に入ってくる中、影原主任は話を再開させた。
「最初にピンときたのが、鮫崎氏の謎の行動だ」
影原主任は謎の行動について説明した。
「謎の行動すなあち、鮫崎氏は氷室の会社に2000万の投資をしている。鮫崎氏はケチな男だ。だとすると博打なんかもしないだろう。投資はある意味、博打だ。会社が軌道に乗れば倍にして返してくれるが、乗らなければ無駄金になってしまう。それを知らない鮫崎剛志ではない筈だ。そんな男が2000万もの大金をバーで会って意気投合した見ず知らずの人間にポンッとだすか?」
この件については捜査会議でも話題になったので覚えていた。
吝嗇家として有名な鮫崎氏がどうして、2000万もの大金をバーで知り合った男に投資したのか……
「投資をしたのはこれが最初で最後のところをみると、賭けに目覚めた訳では無さそうだ。だとすれば結論は一つ」
影原主任は人差し指を差し、こう結論付けた。
「慰謝料しかないだろう。知らぬとはいえ、何もしてやれなかった罪悪感が芽生えてもおかしくないだろう」
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