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影原主任は持ってた報告書を陽向管理官に見せるように机の上に置いた。
管理官は書類をまじまじと見つめながら、クリップに挟んであった複数枚の写真に目をやった。
「この写真が全てを物語ってると?」
「そうだ。興信所の人間がそう感じたのは報告書と共に添えてあるこの数枚の写真からだ。写真には2人の男性が何かを交換してるように見えるが1人は氷室雄一。そして、もう1人は小崎三課課長ならお分かりのはずだ」
陽向管理官の隣にいた小崎三課課長は1枚の写真を手に取ると眉を上げ、もう1人の男の詳細を語った。
「こいつはノブマツ。本名、松島信夫。奴は盗品の宝石を闇市で売るのを生業としている闇ブローカーで、我々もこの男をマークしていました」
小崎三課課長の言葉に主任以外は息を飲んだ。
「まだこの報告書では氷室がグレムリンだとは書かれていない。しかし闇ブローカーと繋がりを持ってるのはこの写真が明らかだ」
主任は話をしていたが、管理官達は書類の方に目を向けていた。
陽向管理官は書類を一通り読むと、小崎三課課長に渡し、回し読みする様になった。
主任は一旦、口を閉じ、武島律子さんと何か会話をしていた。
律子さんは終始、青ざめた表情をしていた。
無理もない。
食事を共にした男性が殺人事件の容疑者として上げられてるのだから。
影原主任と武島さんとの会話を見ていると漸く、書類が私の方にやって来た。
主任はそれを確認すると、武島さんから話を再開した。
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