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主任の推理を聞き終わった時、室内には静寂に包まれた。
しかし、このまま静寂という訳にもいかず、真っ先に陽向管理官が口を開いた。
「毎度の事ながら、お前の推理は相変わらず、奇抜さこのうえないな」
陽向管理官は口振りは呆れつつも、笑みを浮かべていた。
「しかし影原。この推測を立証する証拠を聞いてないぞ。それはどうするつもりだ?」
痛い所をつかれたのか影原主任は黙り込んでしまった。
さらに畳み掛けるように管理官は反論し続けた。
「お前が今、話した推理には証拠がない。全てお前の憶測だ。まぁ氷室雄一が鮫崎氏の隠し子だという説はDNA鑑定をすれば分かる話だが、まだこの男がグレムリンの一員だと証明できてないぞ?この写真だけでは流石に無理がある」
管理官の言う通りだ。
鮫崎氏を殺す動機があっても、氷室雄一がグレムリンだという証拠がない。
ただ、闇ブローカーと会っていただけの写真だけでは弱過ぎるのだ。
しかもまだ氷室雄一が鮫崎一家4人を殺した証拠も見つかっていなかった。
このままでは私達は今まで主任の架空話に付き合わされていたという事になってしまう。
だけど、私は知っている。
私のボスはここで立ち止まる男ではないという事を………
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