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「無論、今のままでは氷室雄一に手錠をかけれる事ができない。それは重々、承知している」
影原主任はそこを理解した上で話していた。
「まぁ、俺はまだ氷室雄一とお会いしたことすらないからな。だから明日、お嬢を連れて会いに行ってくる」
「そこでだ」と影原主任は付け加える様に班長や管理官を呼んだ理由を話し始めた。
「あなた方にお話したのはグレムリンが今後、何か大きな事を仕出かす恐れがあるからだ。氷室雄一を引っ張ればそれを未然に防げるかもしれない。だが陽向管理官の仰る通り、証拠がない。だからお願する。今後の捜査を氷室雄一に焦点を当てて欲しい」
主任の頼みにしばらくの間、管理官は考え込んだ。
すると小崎三課課長が手を挙げた。
「三課はなにをすればよろしいので?」
「三課さんにはノブマツを引っ張ってください。氷室雄一について詳しく話を聞く必要があります」
「承知しました」
小崎三課課長はやる気を出していた。
まだ推測の段階だが、グレムリンを逮捕できる兆しが見えていたからだ。
それに長らく追っていた闇ブローカーを逮捕できるかもしれない。
主任が持ってた写真がよい証拠材料になるからだ。
三課がやる気を出したのに、捜査一課も黙って見ている訳にはいかなかった。
陽向管理官は決断を下した。
「分かったよ。最後までお前に付き合ってやるよ」
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