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「ねぇ、お母さんの事、もっと聞かせて」
私は恐る恐る尋ねた。
杏美ちゃんは少しの間、黙り込んでしまったが最後には話してくれた。
「優しくて、綺麗な人だった。怒る時は凄く怖いけど、パパとは違って私を愛してくれていた。自慢のママだった」
杏美ちゃんは片手を伸ばして、傍にあったスマホを取ると、少し操作してから液晶画面を私に見せた。
そこには綺麗な女性と可愛い女の子が笑顔で写っており、私にピースをしていた。
「素敵な人ね……主任には勿体ないわ」
私は率直な感想を述べると、杏美ちゃんも同意見だったのか。
「それなっ！」
と大声を出した。
「だから私、聞いてみたの。どうしてパパと結婚したのかって。ママは少し、恥ずかしそうだったけど、ちゃんと話してくれたわ」
何だか興味が湧く話だった。
「聞きたい？」
「ええ、お願いするわ」
私は即答で答えると、杏美ちゃんは静かに語り始めた。
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